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状態で血圧はやや高めになりやすく、脂質を見ると中性脂肪が高く、HDLコレステロールが低くなる。インスリンそれ自体は成長因子として作用して、それが動脈血管内皮障害を直接的に起こす可能性もある。さらに日常生活の中で運動不足があり、ストレスがあり、たばこを吸っているということが重なる。そういう軽症糖尿病域にある人たちというのは、きわめて動脈硬化を引き起こしやすいということになるわけです。
こういう図式の中で、皆さん方は軽い糖尿病の人であっても、リスクの高い人については積極的にケアをしなければいけないということをよくご理解いただきたいと思うわけです。そのケアのしかたは、基本的には「一無、二少、三多」という生活法でまとめることができます。一無というのは禁煙。たばこは糖尿病あるいは動脈硬化という視点だけでなくて、がんという一大死因に直結するたばこ病としての意味があるわけですから、ライフスタイルという視点からも禁煙はもちろん望ましいことなのです。
二少は少食、少飲の勧め。腹7、8分目で医者知らず、病気知らず。
「よろずの病は酒よりこそ起これ」。お酒は百薬の長ではないのです。
三多(多動、冬休、多接)、つまり多くしてもらいたいことが三つあります。まず、運動を多くする。ほとんどの人が運動不足に陥っているのが現代社会です。そして休養は十分にとる。それから多接というのは、多くの人と接する中でクリエイティブな生活をする。生きがいは多接で生ずるということをここで強調しているわけです。
リスクの高い要指導者に関しては、この生活法を徹底することが最も基本的な指導事項になるということです。禁煙で少酒で腹7、8分目。運動をよくし、質のいい眠りをとり、そしてクリエイティブな生活のための工夫を多接という意味でとらえているのが、この「一無。二少、三多」ということなのです。

 

 

 

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